しっかり分かる外測度に関する具体例2つ抜粋-他の問題にも応用できる問題を提示.

解析学

このサイトでは、大学数学の色んな問題を提示してます. 今回”解析学“の問題である”外測度に関する抜粋問題“についての問題を解いていきましょう!!

今回は次の疑問について解決します!


外測度の具体例を解いてみたい、、、外測度は他にどんな用途があるのか?、、、定期試験などの練習問題や演習のために実力を上げたい!!、、など

今回は、このような疑問や、その悩みに集中して解決してきたいと思います!

これらの問題は外測度に関しての問題を解くための基本的な考え方になるので是非見ていってください!

では、さっそく最初の問題から見ていきましょう.


 \(P(\mathbb{R})\)の集合列{\(N_{j}\)}\(_{j=1}^{\infty}\)が零集合であるとき、その可算和である\(\bigcup_{ j = 1 }^{ \infty } N_{j}\)も零集合となることを示せ.

これはとても基本的な問題かつ重要な性質を使います. 是非解いて見ましょう!!

ヒント
①外測度の定義はどうなっているか?  
②集合列{\(N_{j}\)}\(_{j=1}^{\infty}\)が零集合のとき外測度はどのような値をとるか?  

では、これらのヒントを見ながら自分で解いてみましょう.

解けたら下の解説を見てみましょう!!細かく丁寧に、証明を理解できるようにしっかりと解説していきます.

問題1-解説


 まず、\(P(\mathbb{R})\)の集合列{\(N_{j}\)}\(_{j=1}^{\infty}\)が零集合であるとき、集合列{\(N_{j}\)}\(_{j=1}^{\infty}\)の外測度は\(0\)になる
 よって、外測度の劣加法性から\(m^{\ast}(\bigcup_{ j = 1 }^{ \infty } N_{j})\leq\displaystyle \sum_{j=1}^\infty m^{\ast}(N_{j})=0\)が成り立つ.
 これは、\(P(\mathbb{R})\)の集合列{\(N_{j}\)}が零集合であるときに成立するので、\(m^{\ast}(\bigcup_{ j = 1 }^{ \infty } N_{j})\leq0\)となり、その可算和\(\bigcup_{ j = 1 }^{ \infty } N_{j}\)も零集合となる.

では、次は解答を見ていきましょう!!解答はできるだけ分かりやすく簡潔に書けるよう意識すると良い答案になっていくでしょう.

  証明

外測度の劣加法性より次が成り立ち、主張は示される.
 \(m^{\ast}(\bigcup_{ j = 1 }^{ \infty } N_{j})\leq\displaystyle \sum_{j=1}^\infty m^{\ast}(N_{j})=0\)                                  証明終

実は、解答はこれだけで大丈夫です. 外測度の定義により劣加法性が成り立つことがこの問題の重要な解決の道になり、さらにこの劣加法性によって可算和の外測度が明らかに\(0\)以下になっているので主張が示されることも分かります.

では、さらに次の問題も見ていきましょう!!

この記事では最後の問題になりますので、もう少し頑張って実力を一緒に身につけていきましょう!!


 \(\mu\)を有限加法族\(\mathcal{R}\)上で定義された測度とするとき、\(\mu\)が\(\mathcal{R}\)上の外測度となることを示せ.

では、解いていきましょう!

ヒント
①外測度の定義の性質を1つずつ確認していく.
②\(\mu(\emptyset)\)の測度は\(0\)であるので残りの2つの性質を示せばよい.  

では丁寧に解説をしていきますので、確認していきましょう.

問題2-解説


 では、まず、外測度の3つの条件を\(step1, step2, step3\)ごとに示していきます.

 \(step1;\) \(\mu(\emptyset)=0\)を示す

 まず、\(\mu(\emptyset)\)の測度はもちろん\(\mu(\emptyset)=0\)であり、明らかである.

 \(step2;\) \(A \subset B\) ならば \(\mu(A) \leq \mu(B)\)となることを示す.

 まず、\(A \subset B\)が成り立つとすると、もちろん\(B=A\cup(B-A)\)が成り立ち、\(A \cap (B-A)=\emptyset\)である.

 ここで、\(\mu\)の性質より \(A, B \in \mathcal{R}, A \cap B=\emptyset\) ならば、\(\mu(A \cup B)=\mu(A)+\mu(B)\) が成り立つ.

 これより、\(\mu(B)=\mu(A \cup (B-A))\)=\(\mu(A)+\mu(B-A)\)となり\(\mu(A) \leq \mu(A)+\mu(B-A) \leq \mu(B)\)

 よって、\(A \subset B\)ならば\(\mu(A) \leq \mu(B)\)である.

 \(step3;\) \(\mu(\bigcup_{j=1}^{\infty} A_{j}) \leq \displaystyle \sum_{j=1}^{\infty} \mu(A_{j})\)を示す.

 まず、\(E_{1}=A_{1}\),  \(E_{j}=A_{j}-\bigcup_{k}^{j-1} A_{k}\) \((j=1,2,3,\cdots)\)と定めると、\(E_{i} \cap E_{j} = \emptyset\) \((i \neq j)\),  \(\bigcup_{j=1}^{\infty}E_{j}=\bigcup_{j=1}^{\infty}A_{j}\)\(\cdots①\),  \(m(E_{j}) \leq m(A_{j})\)\(\cdots②\)  \((j=1,2,3,\cdots)\)が成立する.

 上の条件より\(\mu(\bigcup_{j=1}^{\infty})=\displaystyle \sum_{j=1}^\infty \mu(E_{j})\)\(\cdots③\)が成り立つ.

 よって、①より、\(\mu(\bigcup_{j=1}^{\infty}A_{j})=\mu(\bigcup_{j=1}^{\infty}E_{j})\)

 ③より、\(\mu(\bigcup_{j=1}^{\infty}E_{j})=\displaystyle \sum_{j=1}^\infty \mu(E_{j})\)

 ②より、\(\displaystyle \sum_{j=1}^\infty \mu(E_{j}) \leq \displaystyle \sum_{j=1}^\infty \mu(A_{j})\)

 が成り立つ.

 以上より、\(\mu(\bigcup_{j=1}^{\infty}A_{j})=\mu(\bigcup_{j=1}^{\infty}E_{j})=\displaystyle \sum_{j=1}^\infty \mu(E_{j}) \leq \displaystyle \sum_{j=1}^\infty \mu(A_{j})\)となる.

 よって、\(step1,2,3\)より\(\mu\)は\(\mathcal{R}\)上で外測度となる.

少し長くなりましたが、細かく理解したい方はご覧になってください.

では最後、解答を見ていきましょう.

  証明

 \(\mu(\emptyset)=0\)は明らか.

 \(A, B \in \mathcal{R}\)が\(A \subset B\)を満たすとすると、\(B=A \cup (B-A)\)かつ\(A \cap (B-A)=\emptyset\)が成り立つ.

 よって、\(\mu(B)=\mu(A)+\mu(B-A) \geq \mu(A)\)

 また、\(\bigcup_{j=1}^{\infty}A_{j} \in \mathcal{R}\)となる{\(A_{j}\)}\(_{j=1}^{\infty} \subset \mathcal{R}\)に対して、\(\mu(\bigcup_{j=1}^{\infty})A_{j} \leq \displaystyle \sum_{j=1}^\infty \mu(A_{j})\)を示す.

 まず、\(E_{1}=A_{1}\),  \(E_{j}=A_{j}-\bigcup_{k}^{j-1} A_{k}\) \((j=1,2,3,\cdots)\)と定める.

 このとき、\(E_{i} \cap E_{j} = \emptyset\) \((i \neq j)\),  \(\bigcup_{j=1}^{\infty}E_{j}=\bigcup_{j=1}^{\infty}A_{j}\),  \(m(E_{j}) \leq m(A_{j})\)\((j=1,2,3,\cdots)\)が成り立つ.

 これらに注意すると、\(\mu\)が測度であることを使い、

   \(\mu(\bigcup_{j=1}^{\infty})A_{j}=\mu(\bigcup_{j=1}^{\infty}E_{j})=\displaystyle \sum_{j=1}^\infty \mu(E_{j}) \leq \displaystyle \sum_{j=1}^\infty \mu(A_{j})\)が成り立つ.

 よって、\(\mu(\bigcup_{j=1}^{\infty}A_{j}) \leq \displaystyle \sum_{j=1}^\infty \mu(A_{j})\)

 これらより、\(\mu\)は\(\mathcal{R}\)上の外測度となる.                                   証明終

以上です.

まとめ

また、これは外測度に関する\(2\)個目の記事ですので、基本問題や定義などを基礎から学びたい方は、もう一つの記事も見ていくと良いでしょう!!

実数の集合Rに含まれる一点集合の外測度は0になること、また有理数全体の集合の外測度が0になることを示せ.

補足

このサイトでは、高校、大学数学に関する様々な問題と、解説解答を提示しています. また、高校、大学の定期試験などでよく出題される問題など基礎的な問題に触れていますので、数学科はもちろん、興味のある方にも理解できるように解説しています。

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