しっかり分かるε-N論法、基本的な具体例から解説.さらに、εとNの取り方のコツも解説!!

ε-N論法

このサイトでは、大学数学の色んな問題を提示しています.今回は大学数学の最初の関門である\(\varepsilon – N\)論法についての問題を解いていきましょう!!

次回の記事では\(\varepsilon-\delta\)論法について解説しています。


今回は次の疑問について解決していきます!!


\(\varepsilon-N\)論法の解き方が分からない…何回解いてもなかなか正解が分からない…どうやって\(N\)をとれば良いのか分からない…0から知りたい!!、、など


今回はこのような疑問や悩みについて解決できるように書いていきます!!

また\(\varepsilon-N\)論法数列に関する極限を証明するときに使う方法になります。たくさん問題に触れることでだんだん解けるようになっていきますので是非たくさん問題を解いて頑張っていきましょう!!

・ポイント

 \(\varepsilon-N\)論法の定義 :  \(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } a_{n} = \alpha\) に対して、\(\forall \varepsilon\gt 0, \exists N \in \mathbb{N}, n \gt N \Rightarrow \vert a_{n}-\alpha \vert \lt \varepsilon\)を示せばこの数列が連続であることや、収束すること、また発散することも言える

解き方 : まず与えられた式を簡単に変形出来るか確認する。その後、それが\(\varepsilon\)より小さくなるように決める。そうすると、あとは定義に従い証明することが出来る。


これからさっそく問題にはいっていきますが、できるだけ細かく解説していきますので解答が分からない方は解説をしっかり見ることをオススメします!!

では、さっそく1個目の問題を問いきましょう!!


 \(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } \frac{\sqrt{n}+1}{n-2}=0 \)となることを\(\varepsilon-N\)論法を使って証明せよ


ではまず、自分でじっくりと考えることをオススメします!!何も思い浮かばない場合は下のヒントを見ながらもう一度考えてみましょう!!

ヒント
Step1:まずは、\(\vert \frac{\sqrt{n}+1}{n-2}-0 \vert\)を簡単な形にして、\(\vert \frac{\sqrt{n}+1}{n-2}-0 \vert \lt \varepsilonとなるnを\varepsilonで表す\)  
Step2:\(その後、\varepsilonで表したのもをNとすると、\varepsilon-N論法の定義より、\\ \forall\varepsilon \gt 0, \exists N \in\mathbb{N} : n \gt N \Rightarrow \vert \frac{\sqrt{n}+1}{n-2}-0 \vert \lt \varepsilonが成り立つ \)


これを見ても分からなかった方は、次の解説を見ていきましょう!

できるだけ分かりやすく細かく解説しているつもりなので分からなかった方は見ていってください!!

問題1-解説


 まず、\(\vert \frac{\sqrt{n}+1}{n-2}-0 \vert=0\) の両辺を \(n\) で割ると、\(\vert \frac{\frac{1}{\sqrt{n}}+\frac{1}{n}}{1-\frac{2}{n}} \vert=0\) となる \( \\ \) ここで、\(\vert \frac{\frac{1}{\sqrt{n}}+\frac{1}{n}}{1-\frac{2}{n}} \vert=0 \leq \ast\) となる \(n\) を含む \(\ast\) を探す.\(\\ \)ここで、 \(n \geq 3\) と決めると、 \(\vert \frac{\frac{1}{\sqrt{n}}+\frac{1}{n}}{1-\frac{2}{n}} \vert \leq \frac{\frac{1}{\sqrt{n}}+\frac{1}{n}}{1-\frac{2}{3}}\) となる\(\\ \)ここで、 \(n \geq 3\) のとき、 \(\sqrt{n} \leq n\) より、 \(\frac{1}{\sqrt{n}} \geq \frac{1}{n}\) となるので、\(\\ \)\(\vert \frac{\frac{1}{\sqrt{n}}+\frac{1}{n}}{1-\frac{2}{n}} \vert \leq \frac{\frac{1}{\sqrt{n}}+\frac{1}{n}}{1-\frac{2}{3}}\leq\frac{\frac{1}{\sqrt{n}}+\frac{1}{\sqrt{n}}}{1-\frac{2}{3}}=\frac{\frac{2}{\sqrt{n}}}{\frac{1}{3}}=\frac{6}{\sqrt{n}}・・・\ast\) となる.\(\\ \)ここで、 \(\frac{6}{\sqrt{n}}=\varepsilon\) とすると、次が成り立つ.\(\\ \)\(\frac{6}{\sqrt{n}}=\varepsilon \Rightarrow \frac{6^2}{n}=\varepsilon^2 \Rightarrow \frac{6^2}{\varepsilon^2}=n \Rightarrow (\frac{6}{\varepsilon})^2=n \\ \)ここで、 \(n \gt N となるNをとりたいので、\)この \(N\) を \(N \gt \) max{\(3, (\frac{6}{\varepsilon})^2\)} とすると、あとは、\(\varepsilon-N論法の定義より証明できる\)



それでは、実際の解答を見ていきましょう!実際解答を書くときは簡潔に分かりやすいように書くことがポイントとなってくるので、そこを意識しながら理解していきましょう。

  証明

\(\vert \frac{\sqrt{n}+1}{n-2}-0 \vert=\vert \frac{\frac{1}{\sqrt{n}}+\frac{1}{n}}{1-\frac{2}{n}} \vert\) ・・・①\(\\ \)ここで、 \(n \geq 3\) のとき\(\sqrt{n} \leq n\) より、 \(\frac{1}{\sqrt{n}} \geq \frac{1}{n}\) であるので、① \(\leq \frac{\frac{1}{\sqrt{n}}+\frac{1}{\sqrt{n}}}{1-\frac{2}{3}}=\frac{\frac{2}{\sqrt{n}}}{\frac{1}{3}}=\frac{6}{\sqrt{n}}\\ \) よって、 \(\forall \varepsilon \gt 0, N \gt\)  max{\(3, (\frac{6}{\varepsilon})^2\)} とすると、 \(n \geq N \Rightarrow \vert \frac{\sqrt{n}+1}{n-2}-0 \vert \lt \varepsilon\)                                 証明終



以上が、\(\varepsilon-N\)論法を用いた数列の極限を証明する方法です.

最初は意味を理解するまでに沢山の時間が必要かもしれませんが、これは自分の意見なのですが教科書を読んで理解していくのはもちろん、特にこのような具体例沢山解いていくことでより速く、\(\varepsilon-N\)論法を理解できるようになると思っています.


まとめ

\(\varepsilon-N\)論法はたくさん問題を解きましょう。もちろん関数の極限を証明する\(\varepsilon-\delta\)論法も同様にたくさん解くほど理解力も上がり上達していくと思います!定期試験対策などにも必要な分野となりますのでしっかり理解していきましょう!基本的には上記の問題と同じ方法で\(\varepsilon-N\)論法は解けますので是非参考にしてください!

補足

このサイトでは、高校、大学数学に関する様々な問題と、解説解答を提示しています. また、高校、大学の定期試験などでよく出題される問題など基礎的な問題に触れていますので、数学科はもちろん、興味のある方にも理解できるように解説しています。

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