実数の集合Rに含まれる一点集合の外測度は0になること、また有理数全体の集合の外測度が0になることを示せ.(解析学)

解析学

このサイトでは、大学数学の色んな問題を提示してます. 今回は、”解析学“の問題である”外測度に関する問題“についての問を解いていきましょう!!

今日は次の疑問について解決します.


外測度って何?、、一点集合の外測度が\(0\)になる理由は?、、有理数全体の集合の外測度は?、、

今回は、このような疑問について解消していきたいと思います.

また、後半では有理数\(\mathbb{Q}\)の外測度についても触れていますので、見ていってください!!

では、外測度の簡単な定義から見ていきましょう。

外測度の定義


  \(\mathbb{R}^{d}\)の部分集合全体からなる集合族を\(P(\mathbb{R}^{d})\)とすると、その\(A \in P(\mathbb{R}^{d})\)とする.
また、\(R(\mathbb{R}^{d})\)を\(\mathbb{R}^{d}\)上の有界な右半開区間の有限和で表される集合全体とする.

     \(m^{\ast}(A) = \inf \displaystyle \sum_{k=1}^\infty m(E_{k})\)    \((A \subset \bigcup_{ k = 1 }^{ \infty } E_{k},  E_{k} \in R(\mathbb{R}^{d}))\)

  と \(m^{\ast}\) を定める. このとき、 \(m^{\ast}(A)\) を \(A\) の外測度という.

 また、\(A \in R(\mathbb{R}^{d})\)のとき、\(A\) 自身が被覆となるので、\(m^{\ast}(A) = m(A)\)となる.

では、さっそく問題を見ていきましょう!!

外測度の基本問題

\(\mathbb{R}\)に含まれる一点集合の外測度は0になること、また有理数全体\(\mathbb{Q}\)の外測度が0になることを示せ.

この問題は外測度を理解するに当たり、とても良い問題となっています. 外測度を理解するのはもちろん、さらにこの問題から応用することができるので解いてみたら答え合わせでチェックしてみましょう!

では、まず細かく丁寧に証明を理解できるようにしっかり解説していきます.

一点集合の外測度が0であることの解説


  まず、\(\mathbb{R}\) 上の一点集合であるので、数直線上の任意の一点をとり、その点を \(x \in \mathbb{R}\) とすると、それだけの要素をもつ集合は\(\{ x \}\) と書くことができます.

  次に、任意の \(\varepsilon \gt  0\) をとり固定すると、\(\{ x \}\) は \([x, x+\varepsilon)\) の1個で完全に覆うことができる.
 ここで、\([x, x+\varepsilon)\) は、\([x, x+\varepsilon) \in  R(\mathbb{R}^{d})\) となる\(R(\mathbb{R}^{d})\) の元であるので、外測度の定義より \(m^{\ast}([x, x+\varepsilon)) = m([x, x+\varepsilon))\) となり、測度の計算として考えることができる.
  すなわち、\(m^{\ast}([x, x+\varepsilon)) =m([x, x+\varepsilon)) =(x+\varepsilon)-x  = \varepsilon\) となる.

  よって、\(m^{\ast}(\{ x \}) \leq  m^{\ast}([x, x+\varepsilon)) = m([x, x+\varepsilon)) = \varepsilon\) と書き表せる.

  以上より、\(m^{\ast}(\{ x \}) \leq  \varepsilon\) より、\(m^{\ast}(\{ x \}) = 0\) である.

では次に、この一点集合の外測度が0になることを活かして有理数全体\(\mathbb{Q}\)の外測度も0になることを示していきましょう.

既に、もう感づいている方もいると思いますが、しっかり理解を高めるために解説していきたいと思います.

今回は解説は簡単に理解できると思うので簡単な説明でいきたいと思います!!

有理数全体\(\mathbb{Q}\)の外測度が0であることの解説


  まず、有理数全体の集合 \(\mathbb{Q}\) は可算集合であるため、一点の可算和として書き表すことができる.
  すなわち \(\mathbb{Q}\) = \(\{ q_{1} \} \cup  \{ q_{2} \} \cup  \{ q_{3} \} \cup  \cdots\) = \(\bigcup_{ n = 1 }^{ \infty }  \{ q_{n} \}\)

  よって、外測度の性質の劣加法性より \(m^{\ast}(\mathbb{Q}) = m^{\ast}(\bigcup_{ n = 1 }^{ \infty }  \{ q_{n} \}) \leq  \displaystyle \sum_{n=1}^\infty m^{\ast}(\{ q_{n} \})\) = \(m^{\ast}(\{ q_{1} \}) + m^{\ast}(\{ q_{2} \}) + \cdots  = 0  + 0  + \cdots\ = 0\) となる.

ここでは、詳細に証明を書いてみました. 次は解答として書く場合以下のように簡潔に書くことができます.

では、解答を見ていきましょう!!

  証明

  任意の \(\varepsilon \gt  0\)を固定し、\(\mathbb{R}\)上の一点集合を \(\{ x \}\) とすると、 \(\{ x \}\) は \(I := [x, x+\varepsilon) \in R(\mathbb{R}^{d})\) である. 
よって、\(m^{\ast}(\{ x \}) \leq m^{\ast}(I) = m(I) =\varepsilon\) となるため、\(m^{\ast}(\{ x \}) = 0\) となる.

 よって、\(R\) に含まれる一点集合の外測度は \(0\) になる.

  また、有理数全体の集合 \(\mathbb{Q}\) は可算集合であるため、一点の可算和として

 \(\mathbb{Q}\) = \(\bigcup_{ n = 1 }^{ \infty }  \{ q_{n} \}\) と表すことができる.よって、外測度の性質である劣加法性を用いると、

  \(m^{\ast}(\mathbb{Q}) = m^{\ast}(\bigcup_{ n = 1 }^{ \infty }  \{ q_{n} \}) \leq  \displaystyle \sum_{n=1}^\infty m^{\ast}(\{ q_{n} \})\) = \(0\)

  よって、有理数全体の集合 \(\mathbb{Q}\) の外測度は \(0\) となる.

                                証明終

まとめ

以上で一点集合と有理数全体の集合\(\mathbb{Q}\)の外測度が0であることが分かりました。

このように可算集合(\(\mathbb{N}\), \(\mathbb{Z}\), \(\mathbb{Q}\))の外測度は全て同様の求め方で証明することができます。

ぜひ興味のある方は解いてみると楽しいのではないでしょうか?

補足

このサイトでは、高校、大学数学に関する様々な問題と、解説解答を提示しています. また、高校、大学の定期試験などでよく出題される問題など基礎的な問題に触れていますので、数学科はもちろん、興味のある方にも理解できるように解説しています。

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