しっかり分かるε-δ論法、基本的な具体例から解説.さらに、εとδの取り方のコツも解説!!

ε-δ論法

このサイトでは、大学数学の色んな問題を提示しています.今回は大学数学の最初の関門である\(\varepsilon – \delta\)論法についての問題を解いていきましょう!!



今回は次の疑問について解説します!!




\(\varepsilon-\delta\)論法の解き方が分からない…何回解いてもなかなか正解が分からない…どうやって\(\delta\)をとれば良いのか分からない…0から知りたい!!、、など



今回はこのような疑問や悩みについて解決できるように書いていきます!!


また\(\varepsilon-\delta\)論法関数に関する極限を証明するときに使う方法になります。たくさん問題に触れることでだんだん解けるようになっていきますので是非たくさん問題を解いて頑張っていきましょう!!



・ポイント

 \(\varepsilon-\delta\)論法の定義 :  \(\displaystyle \lim_{ n \to a } f(x) = \alpha\) に対して、\(\forall \varepsilon\gt 0, \exists \delta \gt 0, 0 \lt |x-a| \lt \delta \Rightarrow \vert f(x)-\alpha \vert \lt \varepsilon\)を示せばこの関数が連続であることや、収束すること、また発散することも言える

解き方 : まず与えられた式を簡単にし、\(\delta\)の入った式に変形出来るか確認する。その後、それが\(\varepsilon\)より小さくなるように\(\delta\)を決める。そうすると、あとは定義に従い証明することが出来る。



これからさっそく問題にはいっていきますが、できるだけ細かく解説していきますので解答が分からない方は解説をしっかり見ることをオススメします!!



ではさっそく問題を解いていきましょう!!




 関数、\(f(x)=x^3\)が、\(x=-\frac{1}{3}\)で連続であることを、\(\varepsilon-\delta\)論法を使い証明せよ



ではさっそく、問題を解いていきましょう!\(\varepsilon-\delta\)論法\(\varepsilon-N\)論法と似たような解き方で解くことが出来ます。\(\varepsilon-N\)論法数列の極限でしたが、\(\varepsilon-\delta\)論法関数の極限を証明するものなので解き方的には同じ感じで出来ます!


ヒント
Step1:まずは、\(\vert x^3-(-\frac{1}{3})^3 \vert\) = \(\vert x + \frac{1}{3} \vert \vert x^2 – \frac{1}{3}x + \frac{1}{9} \vert\)と変形することが出来る.次に \(\vert x + \frac{1}{3} \vert \vert x^2 – \frac{1}{3}x + \frac{1}{9} \vert \lt \varepsilon\) となるような \(\varepsilon\) を \(\delta\) で表すことを目標にする.つまり、何を \(\delta\) で置き換えると \(\vert x + \frac{1}{3} \vert \vert x^2 – \frac{1}{3}x + \frac{1}{9} \vert\) よりも大きい \(\delta\) の入った数で表せるかを考える.

Step2: \(\varepsilon\) を \(\delta\) で表せたら、その \(\delta\) の入った数を \(\varepsilon\) と置くと、 \(\varepsilon-\delta\) 論法の定義に従い、証明することが出来る.



では、これらのヒントを通して問題を解いていきましょう!!もし問題が解けたら次の解説を見て問題が解けたかどうか確認しながら最後の解答を見ていってください!


では、解説です。



問題1-解説


 では具体的に解説していきます.

まず、\(f(x)=x^3がx=-\frac{1}{3}で連続であるので、次のように考えることが出来ます\)

\(\varepsilon-\delta論法の定義は「\forall \varepsilon \gt 0, \exists \delta \gt 0 s.t. \vert x+\frac{1}{3} \vert \lt \delta \Rightarrow \vert x^3-(-\frac{1}{3})^3 \vert \lt \varepsilon」\)
(s.t.はsuch thatの略)

であるので、このことを考えると、

\(\vert x+\frac{1}{3} \vert \lt \deltaとなるときに、\vert x^3-(-\frac{1}{3})^3 \vert \lt \varepsilon\)\(が成り立つのでそこに注意しながら変形していきます.\)

\(まず、\vert x^3-(-\frac{1}{3})^3 \vertを簡単に変形すると\vert x^3-(-\frac{1}{3})^3 \vert=\vert x + \frac{1}{3} \vert \vert x^2 – \frac{1}{3}x + \frac{1}{9} \vert\)と書き表せる.

次に、\(\vert x + \frac{1}{3} \vert \lt 1\) とすると、

\(\vert x + \frac{1}{3} \vert \lt 1 \Rightarrow -1-\frac{1}{3} \lt x \lt 1-\frac{1}{3} \Rightarrow -\frac{4}{3} \lt x \lt \frac{2}{3}\) すなわち、\(\vert x \vert\) を考える

と、\(-\frac{4}{3} \lt x \lt \frac{2}{3}\) より、\(\vert x \vert \lt \frac{4}{3}\) と書ける

よって、\(\vert x^2 – \frac{1}{3}x + \frac{1}{9} \vert \leq \vert x \vert^2 + \frac{1}{3}\vert x \vert + \frac{1}{9} \lt \frac{16}{9} + \frac{4}{9} + \frac{1}{9} = \frac{21}{9} = \frac{7}{3}\) と書ける.  

以上より、\(\delta = min(1, \frac{3}{7}\varepsilon)\) とすると、\(\delta\) を \(1 または \frac{3}{7}\varepsilon\) のどちらか小さい方で 

\(\vert x^3-(-\frac{1}{3})^3 \vert \lt \varepsilon\) とすることが出来る.

これらより、 \(\forall \varepsilon \gt 0, \delta = min(1, \frac{3}{7}\varepsilon)\) とすると、 \(\vert x + \frac{1}{3} \vert \lt \delta \Rightarrow \vert x^3-(-\frac{1}{3})^3 \vert \lt \frac{7}{3}\delta \leq \varepsilon\) が成り立つ.

以上で証明は終わりです. \(\varepsilon-\delta\)論法も証明の仕方は基本的にどんな問題に対しても同じように証明することが出来ます.



では、実際に解答を見てみましょう!!解答はできるだけ簡潔に書くことを重視して書いていきます.


解答の書き方は必ずしもこのように書かないといけないわけではないので、基本的な部分をおさえて自分なりにアレンジしていくのも良いと思います。



  証明

\(\vert x^3-(-\frac{1}{3})^3 \vert = \vert x + \frac{1}{3} \vert \vert x^2 – \frac{1}{3}x + \frac{1}{9} \vert\) 

ここで、\(\vert x + \frac{1}{3} \vert \lt 1\) とすると、

\(\vert x + \frac{1}{3} \vert \lt 1 \Rightarrow -1-\frac{1}{3} \lt x \lt 1-\frac{1}{3} \Rightarrow -\frac{4}{3} \lt x \lt \frac{2}{3}\) より、\(\vert x \vert \lt \frac{4}{3}\) 

よって、\(\vert x^2 – \frac{1}{3}x + \frac{1}{9} \vert \leq \vert x \vert^2 + \frac{1}{3}\vert x \vert + \frac{1}{9} \lt \frac{16}{9} + \frac{4}{9} + \frac{1}{9} = \frac{21}{9} = \frac{7}{3}\) 

したがって、

\(\forall \varepsilon \gt 0, \delta = min(1, \frac{3}{7}\varepsilon)\) とすると、\(\vert x + \frac{1}{3} \vert \lt \delta \Rightarrow \vert x^3-(-\frac{1}{3})^3 \vert \lt \frac{7}{3}\delta \leq \varepsilon\)                                 証明終



以上が、\(\varepsilon-\delta\)論法を用いた関数の極限を証明する方法です!



まとめ



\(\varepsilon-\delta\)論法はたくさん問題を解きましょう。もちろん数列の極限を証明する\(\varepsilon-N\)論法も同様にたくさん解くほど理解力も上がり上達していくと思います!定期試験対策などにも必要な分野となりますのでしっかり理解していきましょう!基本的には上記の問題と同じ方法で\(\varepsilon-\delta\)論法は解けますので是非参考にしてください!




補足

このサイトでは、高校、大学数学に関する様々な問題と、解説解答を提示しています. また、高校、大学の定期試験などでよく出題される問題など基礎的な問題に触れていますので、数学科はもちろん、興味のある方にも理解できるように解説しています。

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