しっかり分かる、べき級数の収束半径の求め方(応用編)例題解説付き(複素関数論)

複素関数論

このサイトでは、大学数学の色んな問題を提示してます. 今回は、”複素関数論“の問題である”べき級数の収束半径の応用“についての問題を解いていきましょう!!

前回は、以下のような疑問や悩みを解決しました!!


べき集合の収束半径って何?、、、とりあえず具体で解説を見たい!!

そして、基本問題に触れ、解き方がある程度身についたのではないでしょうか?

今回は基本的な理解の上で、さらに問題演習を重ねるために色々な問題を用意しました。

中には難しいモノから、ちょっとややこしい問題があります。でもこれらを解けるようになると収束半径は完璧になっていることでしょう!

では、さっそくいくらか問題を見ていきましょう!!

べき級数の収束半径の求め方(基本)

次のべき級数の収束半径を求めよ.


     \((1) \displaystyle \sum_{n=1}^\infty \frac{n!}{n^2}z^n\)     \((2) \displaystyle \sum_{n=1}^\infty \frac{n^{2n}}{(2n+1)!}z^n\)

では、これらの問題が解けたら下の解答を見てみよう!

  \((1) \displaystyle \sum_{n=1}^\infty \frac{n!}{n^2}z^n\)ならば、\(a_n=\frac{n!}{n^2}z^n\)
 このとき、
  \(\frac{|a_n|}{|a_{n+1}|}=\frac{|n!\times(n+1)^2|}{|n^2\times(n+1)!|}=\frac{(1+\frac{1}{n})^2}{n+1}=(1+\frac{1}{n})^2\times\frac{1}{n+1}\)

 よって、 \(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } \frac{|a_n|}{|a_{n+1}|}=1\times0=0\)

  以上より、このべき級数の収束半径を\(\rho\)とすると、\(\rho=0\)



  \((2) \displaystyle \sum_{n=1}^\infty \frac{n^{2n}}{(2n+1)!}z^n\)ならば、\(a_n=\frac{n^{2n}}{(2n+1)!}z^n\)
 このとき、
  \(\frac{|a_n|}{|a_{n+1}|}=\frac{|n^{2n}\times(2n+3)!|}{|(2n+1)!\times(n+1)^{2n+2}|}=\frac{|n^{2n}\times(2n+2)(2n+3)|}{|(n+1)^{2n+2}|}=\frac{n^{2n}\times(2n+2)(2n+3)}{(n+1)^{2n}\times(n+1)^2}=\)

  \(\frac{(2n+2)(2n+3)}{(1+\frac{1}{n})^{2n}\times(n+1)^2}=\frac{1}{(1+\frac{1}{n})^{2n}}\times\frac{4n^2+10n+6}{n^2+2n+1}=\frac{1}{(1+\frac{1}{n})^{2n}}\times\frac{4+\frac{10}{n}+\frac{6}{n^2}}{1+\frac{2}{n}+\frac{1}{n^2}}\)

 よって、 \(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } \frac{|a_n|}{|a_{n+1}|}=\frac{1}{e^2}\times\frac{4}{1}=\frac{4}{e^2}\)

  以上より、このべき級数の収束半径 \(\rho\) は \(\rho=\frac{4}{e^2}\)

これで基本的な収束半径の問題は終了です. 式の計算が少々複雑ですが、丁寧に計算すると求めたい答えはしっかり出てきます.

では、次は対数関数の収束半径を求めて見ましょう!!

べき級数の収束半径の求め方(対数関数)

\(a_n\)が次の式で与えられているとき、べき級数\(\displaystyle \sum_{n=1}^\infty a_nz^n\)の収束半径を求めよ.


     \((1) a_n=\log (n+1)\)     \((2) a_n=\log (2n)\)

では、これらの問題が解けたら下の解答を見てみよう.

  \((1)   \displaystyle \lim_{ n \to \infty } \frac{|a_n|}{|a_{n+1}|}=\frac{|\log |n+1||}{|\log |n+2||}・・・(\ast)\)

  ここで、ロピタルの定理より、

    \(\frac{d}{dn}[\log(n+1)]=\frac{1}{n+1}\),   \(\frac{d}{dn}[\log(n+2)]=\frac{1}{n+2}\)


    よって、\((\ast) = \frac{n+2}{n+1}=\frac{1+\frac{2}{n}}{1+\frac{1}{n}}\)

    よって、\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } \frac{|a_n|}{|a_{n+1}|}=1\)

  以上より、このべき級数の収束半径を\(\rho\)とすると、\(\rho=1\)

  \((2)   \displaystyle \lim_{ n \to \infty } \frac{|a_n|}{|a_{n+1}|}=\frac{|\log |2n||}{|\log |2(n+1)||}・・・(\star)\)

  ここで、ロピタルの定理より、

    \(\frac{d}{dn}[\log(2n)]=\frac{1}{n}\),   \(\frac{d}{dn}[2\log(n+1)]=\frac{2}{n+1}\)


    よって、\((\star) = \frac{n+1}{2n}=\frac{1}{2}+\frac{1}{2n}\)

    よって、\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } \frac{|a_n|}{|a_{n+1}|}=\frac{1}{2}\)

    以上より、このべき級数の収束半径 \(\rho\) = \(\frac{1}{2}\)

対数関数も同様に極限を計算することにより収束半径を求めることができます. ここでは、極限の計算の時に、少し工夫があります.

高校の時に少し登場した”ロピタルの定理”を用いることで極限の値が求まります.

では、次が最後の問題です. 次は少し変わった問題を見てみましょう!!

べき級数の収束半径の求め方(文字付き)

ここでは、べき級数の収束半径の問題の中の、文字付きの問題を解いてみましょう!!

この問題を解けるようになると皆さんはべき級数はマスターしたと言っても良いでしょう!!

では、さっそく問題に触れていきましょう!!

\(a_n\)が次の式で与えられているとき、べき級数\(\displaystyle \sum_{n=0}^\infty a_nz^n\)の収束半径を求めよ.


     \((1) a_n= \begin{cases} 2^{2m} & ( n = 2mのとき ) \\ 3^{2m-1} & ( n = 2m-1のとき ) \end{cases}\)

では、問題が解けたら、解説を見てみましょう!

  \((1)   \displaystyle \sum_{n=0}^\infty a_nz^n\)について

    \(a_n=\begin{cases} 2^{2m} & ( n=2m ) \\ 3^{2m-1} & ( n=2m-1 ) \end{cases}\)とすると、

  \(・n\) = \(2m\)のとき

  \(\sqrt[n]{|a_n|}=\sqrt[n]{2^n}=2\) よって、

        \(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } \sqrt[n]{|a_n|}=2\)

  \(・n\) = \(2m-1\)のとき

  \(\sqrt[n]{|a_n|}=\sqrt[n]{3^n}=3\) よって、

        \(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } \sqrt[n]{|a_n|}=3\)

  以上より、収束半径を \(\rho\) とすると、

   \(\frac{1}{\rho}\) = \(\begin{eqnarray} \varlimsup_{ n \to \infty } \sqrt[n]{|a_n|} = 3 \end{eqnarray}\)

   よって、\(\rho\) = \(\frac{1}{3}\)

まとめ

以上です. 今回は様々なべき級数の収束半径を求めてきました!!

もっと演習を重ねることによって、実力は上がっていきますので一緒に頑張っていきましょう!!

補足

このサイトでは、高校、大学数学に関する様々な問題と、解説解答を提示しています. また、高校、大学の定期試験などでよく出題される問題など基礎的な問題に触れていますので、数学科はもちろん、興味のある方にも理解できるように解説しています。

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